長期的な利益をもたらすマーケティング戦略志向のススメ

新井 美砂

新井 美砂
アライビジネススクリード 代表

「マーケティング」と聞いて、マーケットリサーチ(市場調査)のことだと思う人、プロモーションのことだと思う人、あるいは商品開発のことだと思う人もいるでしょう。それらはマーケティングの一部でしかありません。

敢えて簡単に言うなら「マーケティングとは売れる仕組みを考えて実践すること」です。「仕組み」というからには、目的を持って体系的にその仕掛けを考える必要があります。調査、商品開発、プロモーションなどを総合的に捉え、一貫性を持った売れる仕組みと展開シナリオ(マーケティング戦略の全体像)に作り上げ、それを着実に実行していくことが望まれます。

シナリオ通りに行かないから戦略を立てるのは意味がないという方もいますが、問題はそこではありません。戦略を体系的に考えるメリットは、何が悪くて、どこを直せばいいのかの軌道修正がしやすいという点です。思いつきで始めてしまうと問題の検証がしにくくなります。運だけで事業が首尾よく運んだために、売上低迷に陥ったとたん、どう対処すればよいかわからなくなる経営者が多いのも事実です。戦略志向を持って経営しているかどうかが事業を継続させる要件といえます。

次に顧客と自社の視点についてです。最近、低価格でお客様がゆっくりできる居心地いいお店をオープンしたいという相談をよく受けます。コンセプトとしては立派ですが、単に人の溜まり場を作っても儲ける仕組み(収益モデル)がなければ、すぐにお店は立ち行かなくなります。お客様のためと思っているかもしれませんが、実はこれは単に経営者の独りよがりでしかないことに気づいていないケースです。利益が出ず経営が危うくなれば、お客様に長期的に商品・サービスを提供することはできません。お客様、自社双方に長期的に利益をもたらす方向性を考えるべきでしょう。

マーケティング戦略を立て、それを実行に移していく事業者は成果を出せる体質に変わっていきます。もし戦略がないのであればまずは形にすることを最優先し、戦略に沿って実施した取組みがうまくいかないままになっているのであれば、今一度、戦略を見直すことをお勧めします。

講師プロフィール

新井 美砂

新井 美砂 
アライビジネススクリード 代表

損害保険会社でシステム開発に従事したのち、油圧機器製造販売業や工業用接着剤製造販売業を営む外資系企業、およびITベンチャー企業にて、経営・マーケティング戦略立案、新事業部の立ち上げに従事する。
平成19年、中小企業診断士の資格を取得後、開業。マーケティング戦略を軸にしたコンサルティング、および研修・セミナーなどの関連業務を行い、現在に至る。中小企業診断士、1級販売士、PMC。

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