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2018/06/13

ポーターとバーニーの論争をご存知ですか

ポーターとバーニーの論争をご存知ですか。論争の当事者をご紹介いたします。

まず、ポーター(Michael E. Porter)は、現在ハーバード大学の教授で「戦略論を書き換えた男」と言われています。著書は、「競争の戦略(competitive strategy)」(1980年)、「競争優位の戦略(competitive advantage)」(1985年)。

一方、バーニー(Jay B. Barney)は、ユタ大学などで教鞭を執った人物で、「経営資源に基づく戦略論」(Resource Based View)で知られています。著書は、「企業戦略論(上)基本編」(2003年)、「企業戦略論(中)事業戦略編」(2003年)、「企業戦略論(下)全社戦略編」(2003年)。

  • ポーターが中心となって発展したポジショニング派の主張は、「業界内の競合他社と比べて、自社がどのような製品・サービスを顧客に対してどのように提供していくか(ポジショニング)」、つまり「業界(とその中での立ち位置)」を重視するということで、差別化戦略あるいはコストリーダーシップ戦略を選択することで競争に勝てるというものです。
  • バーニーを中心に打ち立てられたケイパビリティ派の主張は、「企業の競争優位に重要なのは、製品・サービスのポジショニングではなく、企業の持つ経営資源をどのように活用するか(リソース・ベースト・ビュー)」、つまり「経営資源」を重視するということで、優れた人材、他社がまねできない技術といった自社の強みを活かすことで競争に勝てるというものです。

さらに、ケイパビリティ派はポジショニング派に対して、「同じ環境におかれた企業が多数あるのに、成功と失敗に分かれるのはなぜか?」と質問をしています。ケイパビリティ派は、成功と失敗の違いは、企業の持つ経営資源の差にあるのではないかと主張しました。

ポジショニング派とケイパビリティ派の両者の主張が対照的なことから、どちらの戦略理論(フレームワーク)が持続的な競合優位への寄与度が高いか、専門家の間で論争になりました。その論争は、慶応義塾大学大学院の岡田正大教授によると、リチャード・ルメルトが1991年に発表した論文やその他の実証研究で決着がついたとのことです。

その結果は、企業業績の約15%は業界ごとに異なる何らかの要素(例えば、業界構造や規制環境等)によって決定し、約45%は特定の企業や事業に固有の何らかの要素(例えば、経営者の能力、保有技術、営業チャネルなどの内部資源の違い)に由来しているということでした。つまり、持続的な競合優位への寄与度は、ポーターが約15%、バーニーが約45%ということで決着がつきました。また、残りの40%は不確実性といわれています。不確実性を重視する経営戦略論の研究も近年では注目されています。

 

講師プロフィール

渡辺 晴樹

渡辺 晴樹 株式会社MELコンサルティング 代表取締役社長

中小企業診断士。1978年株式会社マネジメントエンジニアリング研究所(現 株式会社エム・イー・エル)入社。2007年に現会社に転籍し、2010年より現職。経営診断や経営理念の立案、経営ビジョンの構築、経営戦略の策定、中長期経営計画・年度経営計画の作成及び推進支援などを専門とする。
著書に、「新規事業開発実践マニュアル」(日本実業出版社、共著)、「経営戦略フォーマット総集」(日本実業出版社、共著)などがある。中小企業大学校東京校の講師も務める。