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WEBeeコラム

2018/06/22

ライバルを知らねば、“真の差異化”は図れない!

今回は「競合他社(ライバル)を知ることの大切さ」をテーマにします。経営セミナーで受講者の方々に自社の競合先を尋ねると、社名は知っていても具体的な内容や特性を把握してないケースは意外と多いものです。一方、顧客側は自らのニーズを満たしてくれるベストの1社を選択すべく、自社も含めた競合各社の情報も収集し検討を重ねています。他社を知ることで、自社の差異性が明確に打ち出せ、“選ばれる1社”になるはずです。

競合他社を知ることの大切さとして、当方のセミナー参加者の事例をご紹介します。高齢者向けデイサービス(通所介護事業)を創業希望の方がいました。講座の中で「ライバルの事業内容をしっかり把握しないと、自社の差異化が図れない」旨をお話しました。この方はこの言葉をしっかり受け止め、開業前に商圏内の競合先27箇所を全て回って、そのサービス内容と特性の把握に努めました。その結果、一番印象に残った点は「利用者が円状に座って皆で童謡を歌うなど、幼稚園のような雰囲気の施設が多いこと」でした。この方には高齢の祖父がいましたが、「祖父だったらこのようなサービスは受けたくないはず」と独自スタイルの施設立ち上げを決意します。

サービスの特徴として意識したのは、「利用者本人の経験や得意分野を活かす」ことでした。それによりやりがいが生まれ機能改善の効果も高まるからです。具体的には、所内で利用者本人の強みを活かして“働いて”もらうことでした。例えば、元大工の男性は施設内の簡単な修繕、裁縫が得意な女性は所内で使う雑巾づくり、などを務めたりします。その労働の対価として、施設内通貨「シップ」を受け取れます。これは施設内だけで使える擬似通貨で、労働の他にもリハビリなどをすることでもシップを“稼ぎ”、喫茶コーナーでの飲み物の注文、カラオケの利用、イベントへの参加などで“使う”こともできます。施設側がお仕着せでサービスを提供するのでなく、利用者自らが自由に過ごし方を決められます。利用者は自らの意思で稼ぐ・使うの“経済活動”を行えることから、より張り合いのある充実した時間を過ごせます。これら独自の取り組みが奏功し、リピーターなど利用希望者は急増。創業4年目にして3店舗目をオープンし、域内で最も人気のある施設となっています。創業前にライバルをしっかり把握したことで、自社の立ち位置が明確となり、施設オープン時から差異性を打ち出せた好例と言えます。

我々は、自社のことは良く分かっているものの、ライバルのことは意外と無頓着であったりします。競合先はどこで、具体的にどのような製品・サービスを提供し、いかなる特性を有するのか、しっかりと押さえることです。その上で、自社の強みをより発揮できる領域に注力することで、自社の存在価値を高められ、結果として効果的な差異化を実現できるはずです。

講師プロフィール

坂本 篤彦

坂本 篤彦 ビジネス・コア・コンサルティング代表 中小企業診断士

日本マクドナルド㈱を経て、平成3年、東京商工会議所入所。ベンチャー企業の事業展開支援や中小企業のM&Aサポート事業の企画・立案および運営等に携わる。平成14年10月独立し、ビシネス・コア・コンサルティングを設立。創業・ベンチャーの事業展開支援や中小企業の経営革新支援など実践型のコンサルティングを展開する。中小企業大学校東京校の経営後継者研修ではゼミナールを担当し、後継者の育成にも注力している。