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2019/02/04

工場監督者におすすめするコストダウンの進め方

 製造業にとって、日々のコストダウン活動は避けて通ることができません。しかし、工場の監督者に指名され、はじめてコストダウン活動を進めていこうとしたとき、何から手をつければよいのか、どの範囲までやればよいのか、誰にやってもらえばよいのか、等々、悩む方も多いのではないでしょうか。

 実際、工場のコンサルタントを長年つとめている私のもとにも、客先から厳しい単価の引き下げ要求を受けて抜本的なコストダウンを迫られ、どうしたらよいのか教えてほしい、という相談が数多く寄せられています。そこで、私がおすすめしている考え方や手順を少し紹介したいと思います。

 工場で大きなコストダウン成果を得るには、最初に「あるべき姿(理想時間)」を設定することが必要です。

 例えば、ある工場の組立ラインを考えてみましょう。この組立ラインは、同じ作業を佐藤さん・吉田さん・鈴木さん・高橋さんの4人で行っています。

 4人の作業時間をタイムスタディーした結果は、佐藤さんが70秒・吉田さんが80秒・鈴木さんが72秒・高橋さんが60秒でした。そこで、4人の作業時間と作業の正確さを検討してみると、高橋さんは4人の中で作業スピードは速く、正確性も高かったので、高橋さんの作業時間と作業方法をお手本とすることとし、作業時間の60秒を理想時間とし管理目標としました。

 4人の中で一番遅いのは吉田さんの80秒であり、高橋さんとは20秒の大きな差があります。そこで現場の管理者は、どうして吉田さんは20秒の差が生じているかを分析し、どうすればこの差を縮めることができるかを、自分なりの結論を出し作業者である吉田さんとともに時間短縮をするために指導を行っていきます。

 製造現場においては、高橋さんの理想時間に対し全員が60秒で作業が終えることができてはじめてロスがなくなり、現場のコストダウンが実施されます。

 このように、あるべき姿(理想時間)を設定すると、現状との差がコストダウン余地となり、ロスが「見える化」されます。同時に、自社の現状を把握するために、正しいデータを集め、分析することも重要です。こうしてデータが得られることで、自社の課題・特徴が明確になり、コストダウンに対し、監督者として何をすべきかが明確になっていきます。また、これらから、コストダウン活動のセオリーである「誰が」「何を」「どれくらいやれば良いか」をキーワードにした、各部門に必要なコストダウンテーマも明確になっていくのです。

 コストダウンは、多くのテーマを同時に進めることはできません。したがって、コストダウン効果金額の大きいものから優先順序を決めて進めることが重要ですが、こうした点もデータを分析していくことで、明確になります。

 そして忘れてはいけないのが、コストに関する理論を学び、原理原則を理解することです。監督者のみなさんは、日々の忙しい業務に追われ、なかなか知識のインプットをすることが難しいとは思いますが、理論とコツを学ぶことで、コストダウンがより効果的になることは間違いがありません。ぜひ、中小企業大学校の研修も受けながら、本格的にコストダウンに取り組んでいただきたいと思います。

講師プロフィール

大塚 泰雄

大塚 泰雄 株式会社MEマネジメントサービス 常務取締役

大手工作機械メーカー勤務を経て、平成3年(株)MEマネジメントサ-ビス入社。平成13年取締役就任。標準原価管理システム構築やコストダウン教育、VE改善等を通じた総合的コストダウンに係るコンサルティングを手掛ける。
主な著書として「トコトンやさしい原価管理の本」、「よくわかる金型の原価管理とコストダウン」(日刊工業新聞社)などがある。

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