「採用、定着、育成」の好循環を回すために

小島 慎一

小島 慎一
AT WILL&KOJIMA SR 代表

 「採用、定着、育成に関してのお悩みごとはありませんか?」中小企業の経営者や管理者に会うたびに尋ねると、多くの場合「実はですね」という言葉とともに社内の問題点が出てきます。長期的な少子化傾向、2017年は1.50倍と44年ぶりの高水準となった有効求人倍率、3年で3割が辞めるといわれる離職率、さらに中小企業には体系的な教育計画が存在しないため、「採用できない、定着しない、育たない」という3重苦に悩む中小企業がほとんどです。

 私は、立ち話などでは、「人材に関しては、第2のマーケティングだと考えてください」とアドバイスします。つまり、採用は新規開拓のマーケティング、定着は既存顧客に対するマーケティング、そして育成はお客様と会社との共創ということになります。

 採用活動は求職者を選考するのではなく、選んでもらえる会社になるためにはどうすればいいかを検討することがポイントです。採用活動自体の見直しも必要ですが、それ以上に自社の魅力をどのように設定し、どのように伝えるのかを考え、実践します。

 離職を防止するためには、既存のお客様(従業員)に対して、他社にスイッチされないための永続的な関係性づくりが不可欠です。「上司が私のことを見てくれていない」若手従業員によくある不満です。直属の上司とのコミュニケーションが良好な会社は、離職率は低い傾向にあります。

 そして、育成は「俺の背中を見て育て」ではなく、綿密な教育計画(とくに重要なOJT計画)と従業員のキャリア開発の両面から、会社と従業員がともに成長するしかけとしくみを作り、運用します。

 以上のような話をすると、とても自社ではできないという回答が返ってきます。しかし、空前の人手不足時代に人材確保をしようと思うのであれば、上記の3点ができていなければ良い人材ほど他社にさらわれることになります。

 さらに人材に関しては、全社で取り組むことが大切です。総務や人事部門にヒト資源を丸投げする時代は終わりました。今や経営者はもちろん、すべての部門の管理者にとって組織、人事に関する知識、スキルは必須であるといえます。

講師プロフィール

小島 慎一

小島 慎一 
AT WILL&KOJIMA SR 代表

大手旅行会社入社。国内、海外団体旅行の法人営業、企画を担当する。2002年経営コンサルタントとして独立。
独立後、組織、人材および労務マネジメントを中心に、中小企業に経営戦略から組織体制、組織運営、人事制度、そして働き方のルールまでの一貫したコンサルティングを行っている。中小企業診断士、特定社会保険労務士、中小機構 中小企業アドバイザー(経営支援)。

講義内容やスケジュールについての
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