人事制度新設・改定の前に考えるべき3つのポイント

小島 慎一

小島 慎一
AT WILL&KOJIMA SR 代表

「人事制度の設計は難しいねぇ」多くの経営者や総務部長が口にする言葉です。企業が小規模なうちは社長のさじ加減で評価も給与も決定していいのかもしれませんが、組織が大きくなるにつれ、社長が社員の細かい行動までチェックができなくなり、さらに公正な評価を実現するために、人事制度の導入を考えることになります。また、経営環境の変化、企業規模の成長、事業内容の変化などにより、既存の人事制度の改定を考えることもあります。

人事制度は、等級制度、評価制度、報酬制度、育成制度等の総称で、社内の人材活用の基幹システムであり、様々な要因で機能不全に陥り、かえって社員の不満が高まってしまうこともありえます。

残念ながら自社にしっくりした人事制度を実現できた企業は多くはありません。もちろん会社も社員も100%満足という制度はありえませんが、いきなり人事制度を設計・改定するのではなく、事前に以下の3つに留意するだけでも、自社の人事制度のしっくり感は間違いなくアップします。

 

①会社の進む方向と一致しているか

社長の仕事は、方向性を決め、経営資源を配分し、人の動く仕組みを作り上げることです。しかし、社長一人で経営理念やビジョン達成に向けた行動はとれません。会社の進む方向に基づいた人事制度を作ろうとしているでしょうか。

書籍に書かれていることをそのまま導入してもうまくいきません。100社あれば100通りの人事制度があります。

 

②組織と一致しているか

会社の組織戦略を支えるのが人事制度です。組織図、職務権限、業務分掌、業務フローなどの組織体制、組織を機能させるためのリーダーシップ、マネジメント、コミュニケーション、モチベーションなどの組織運営の現状と人事制度とのすり合わせをしないで取りかかろうとしていないでしょうか。

 

③人事理念と一致しているか

人事面での経営理念が人事理念です。自社の求める(望まれる)人材像が明確であり、どういう社員を輩出させていきたいのかを見える化し、それが具体的に人事制度に落ちていることが必要です。

人事制度を設計するうちに迷いが出たり、行き詰ったりすることが必ずあります。そのときは人事理念に戻って考えることが必要になります。

講師プロフィール

小島 慎一

小島 慎一 
AT WILL&KOJIMA SR 代表

大手旅行会社入社。国内、海外団体旅行の法人営業、企画を担当する。2002年経営コンサルタントとして独立。
独立後、組織、人材および労務マネジメントを中心に、中小企業に経営戦略から組織体制、組織運営、人事制度、そして働き方のルールまでの一貫したコンサルティングを行っている。中小企業診断士、特定社会保険労務士、中小機構 中小企業アドバイザー(経営支援)。

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