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WEBeeコラム

2018/11/27

外部環境を見極めて、戦略を確定する。

戦略を考える時に重要なことは、外部環境を見極めることである。例えば、書店は、極めて重要な外部環境の変化に直面している分かり易い例である。アマゾン、ネット書店や中古本買取店の台頭などが、その要因である。従来の考え方で書店を継続していれば、しっかりとした経営をしていたとしても、売上の減少は自明である。

しかし、人間は、過去の成功体験にとらわれる。新たな挑戦には心理的な抵抗感を伴うものである。畢竟、「不安だけれど、ここで冒険をしても上手くいくとは限らない。だから、とりあえず従来の考え方に基づいて従来の業界の基本とされたことを徹底して、生き残りを図ろう」となることが多い。

先日、ある小型スーパーマーケットの経営者から相談を受けた。そして、その小型スーパーマーケットを見に行くと、駅から徒歩10分、住宅や工場が点在する立地にある。八百屋から発展した同店は古いスーパーだが、品揃えは思ったほど悪くなく、店自体も比較的清潔に保たれている。接客は素晴らしく、店員がお客様にフレンドリーな対応をしている。しかし、売上は大幅に落ちており、客数も客単価も大幅に下落している。

「…いったいなぜだろう?」と考えて店を観察し、周辺を歩いてみた。すると、駅前では大型のスーパーマーケットが三店舗しのぎを削っており、同店の顧客は70代、60代で、60%を占めていることが分かった。品ぞろえでは駅前のA大型スーパーには勝てず、価格でも駅前のB大型スーパーには勝てない。若い客層はBスーパーにとられ、中高年の質を求める層はAスーパーにとられている。そういったことで、同店には、近くで買い物をする高齢者層だけが来ているという実情。年齢から考えても、お亡くなりになったり、或いは、来れなくなったりしている事、又、消費量が落ちてきているのではないかという仮説が立った。

売上減少の理由はそこにある、と仮説し、同店の大きな強みである弁当を活かして生き残りをかけることにした。弁当の人気は、あったものの、それほど力を入れてこなかった。しかし、それでも、昼になると地域で働く人が弁当を買いに来ることが分かった。そこで、地域の工場にチラシを入れて、八百屋の健康弁当と名付け、宅配の体制を整え、業績の向上を果たすことが出来た。仮に、スーパーの本来の機能にこだわっていたら同社の業績は回復しなかったと考えられる。

戦略は闇雲な努力をすることではなく、企業に方向性を与えることである。

講師プロフィール

溝井 伸彰

溝井 伸彰 溝井&パートナー経営コンサルティング事務所 代表

明治大学政治経済学部卒業後、(株)国連社、(株)ODS、(株)ミツウロコを経て(株)ティビーシーでコンサルティング事業部長就任。ベンチャー支援のため専門家を組織しベンチャー企業、中小企業に対するコンサルテーションを実施。その後、独立。起業家の育成、創業支援及び経営コンサルティングを行う。コンサルティング実績は、試作業、広告業、美容業、美容ディーラー業、専門商社、整体業、樹脂製品問屋業等多岐にわたる。(独)中小企業基盤整備機構などでアドバイザーを務めるなど、各方面で活躍中。中小企業診断士。
著書に「となりの「美容院」が儲かっている本当の理由―誰でも今日からやれる5つのアクション」ぱる出版、「なぜか上手くいく社長の、「失敗しない」しくみ―大振りで狙う勝ちより負けをなくす経営 困難突破マニュアル」ぱる出版、「小さな会社の「移転・引越し」マニュアル―スリムな組織に合ったオフィス環境へ」(共著) ぱる出版。