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2018/08/08

SWOT分析はお茶の葉の占いか?

SWOT分析という、自社の現状分析に有効な手法があります。自社の強み・弱み、自社を取り巻く環境を機会・脅威として捉え、自社の現状を分析する手法です。SWOT分析 は、2×2のマトリックスで分かりやすいため、ビジネス界に広く普及しました。

しかし、CI(Competitive Intelligence、競合インテリジェンス)の専門家であるレオナード・ファルド は、SWOT分析のことを「お茶の葉で占いをするようなものだ 」と言っています。その理由は、「強み」や「弱み」はあくまで相対的なものであって、他社と比較して初めてその内容・程度がわかるのであって、その「他社情報」を取得することは極めて困難であり、また「機会」や「脅威」は未来の予測で、未来を正確に語ることができないと。

SWOT分析は、ハーバード・ビジネス・スクールの看板教授であったケネス・アンドルーズ によって、企業の中長期戦略を検討するための方法として活用されました。SWOT分析とは、自社の目的達成に向けて、内部要因のうちポジティブな要素をStrength(強み)、ネガティブな要素をWeakness(弱み)、外部要因のうちポジティブな要素をOpportunity(機会)、ネガティブな要素をThreat(脅威)と名付け、4つの頭文字を合わせたものです。

ケネス・アンドルーズの戦略策定の考え方は、SWOT分析を起点にしながら、「外部環境にどうやって内部環境を一致させるか」ということが重要で、SWOT分析から何かを生み出すものではありませんでした。SWOT分析は、事業に関わるさまざまな事柄を「整理するだけのツール」だったのです。

次に、SWOT分析で出した「機会・脅威」に、「強み・弱み」のそれぞれを組み合わせて、打つべき「策」を生み出す有用なツールが開発されました。

その組み合わせは、次の通りです。

・「機会」と「強み」を組み合わせれば「積極的攻勢策」

・「機会」と「弱み」を組み合わせれば「弱点強化策」

・「脅威」と「強み」を組み合わせれば「差別化策」

・「脅威」と「弱み」組み合わせれば「防衛/撤退策」

なお、このツールは、クロスSWOTと言われていますが、正しくは TOWSマトリクスといいます。サンフランシスコ大学をはじめ、様々な国で教鞭を執ったハインツ・ワイリック によって、1982年の論文で提唱されたツールです。

SWOT分析とTOWSマトリクスを組み合わせることで、そこからさまざまな戦略オプションを出すことができます。そのためには、SWOT分析で抽出した情報について、羅列ではなく、絞り込み、深掘り、重要性、優先度、そして問題点の検証など、さらなる分析が必要になります。

講師プロフィール

渡辺 晴樹

渡辺 晴樹 株式会社MELコンサルティング 代表取締役社長

中小企業診断士。1978年株式会社マネジメントエンジニアリング研究所(現 株式会社エム・イー・エル)入社。2007年に現会社に転籍し、2010年より現職。経営診断や経営理念の立案、経営ビジョンの構築、経営戦略の策定、中長期経営計画・年度経営計画の作成及び推進支援などを専門とする。
著書に、「新規事業開発実践マニュアル」(日本実業出版社、共著)、「経営戦略フォーマット総集」(日本実業出版社、共著)などがある。中小企業大学校東京校の講師も務める。