WEBee Campus

WEBeeコラム

2018/09/03

競合分析が戦略立案の前提。明日を切り拓くために戦略を作る。

3年前にある地方都市にあるP社からオファーが舞い込んできました。

P社は、問屋業を営む社歴50年の老舗企業です。県内N0.1の年商の会社なのですが、ここ5年くらいで、近隣県の大手の競合他社の当該市場に参入を許し、シェアを奪われています。財務状態も、債務超過に陥っていました。極めて厳しい状態で、経営改善計画の策定が必要でした。(経営改善計画とは、業況の悪化した企業が、金融機関に対して、経営の再建を果たす期間、協力を要請するために策定する経営計画の事。)

訪問初日に、会社を訪れた時、若手の社員さんの目は、澱んでおり、やる気を感じることが出来ず、そのことを社長に告げると、「実は、10数年前に近県に進出を行ったのですが、それが軌道に乗らず、赤字を垂れ流したまま、撤退が遅れ、その間に本社の営業部に経営資源を十分に注ぐことが出来なかった。その状況を察知した中堅社員たちが、不満を抱き、退職が続いたことがあり、若手社員は、今も、その不満を持っています」とのこと、先代の時代の出来事です。

早速、幹部を招集してもらい、先ずは、競合分析表の作成を始めました。競合分析表とは、自社と競合する企業を横軸に、縦軸には、企業の戦略的に重要と考えられる要素(この場合は、問屋業ですので、物流体制、営業体制、小売店の支援体制、拠点、重点メーカーとメーカーの協力度合い…等々)を書き出し、その表に、現在の状況を書き込んで整理していく方法です。初日は、殆ど書き出すことが出来ませんでしたが、インターバルを開けながら計4回その作業を続けました。その後は、比較的スムーズに進み、二か月後に競合分析表が完成しました。

ある幹部がそのプロセスの中で、「うちの営業担当者に力がないと思っていたが間違っていた。当社には戦略がなかったということが初めて、骨身にしみてわかりました。競合にもそんなに優れた人材がいるわけではないし、そんなに差がないはずでは?」と発言しました。それが、全体の合意になり、その後の一か月で、戦略を策定しました。重点メーカー、重点顧客を絞り込み営業活動、仕入活動、徹底的に重点化しました。そして、作り上げた戦略をベースに、それまでの、営業担当者の予算未達を責めるスタイルの営業会議を改め、なぜ、予算を達成できなかったのかを本気で話し合い、協力するスタイルに転換しました。

三年後の現在、同社は赤字を完全に脱し、経常利益を2000万円出せるところまで、実力を付けました。このエピソードから私が感じるのは、戦略策定前の競合分析の重要性です。幹部全員が、競合先や市場を冷静に鳥瞰的に見つめ、理解することが、戦略策定の大前提です。そして、そのプロセスの中で多くの宝物の様な発見が出来るのです。貴社もご一緒に戦略形成の思考方法を学びませんか。辛抱強く取り組めば、きっと成果に繋がるはずです。

講師プロフィール

溝井 伸彰

溝井 伸彰 溝井&パートナー経営コンサルティング事務所 代表

明治大学政治経済学部卒業後、(株)国連社、(株)ODS、(株)ミツウロコを経て(株)ティビーシーでコンサルティング事業部長就任。ベンチャー支援のため専門家を組織しベンチャー企業、中小企業に対するコンサルテーションを実施。その後、独立。起業家の育成、創業支援及び経営コンサルティングを行う。コンサルティング実績は、試作業、広告業、美容業、美容ディーラー業、専門商社、整体業、樹脂製品問屋業等多岐にわたる。(独)中小企業基盤整備機構などでアドバイザーを務めるなど、各方面で活躍中。中小企業診断士。
著書に「となりの「美容院」が儲かっている本当の理由―誰でも今日からやれる5つのアクション」ぱる出版、「なぜか上手くいく社長の、「失敗しない」しくみ―大振りで狙う勝ちより負けをなくす経営 困難突破マニュアル」ぱる出版、「小さな会社の「移転・引越し」マニュアル―スリムな組織に合ったオフィス環境へ」(共著) ぱる出版。

担当コース